2025〜2030年 タワーマンション投資はどう動く?【5年後の市場展望】

東京のタワーマンション
  • URLをコピーしました!

日本国内外の投資家に向けて、東京を中心とした不動産情報を英語・日本語で発信する不動産専門メディア「RealEstateGuide.jp」にて公開された、在日外国人投資家であるMichael Green氏によるレポート「Tokyo Property Market Outlook 2025–2030」(2025〜2030年の東京不動産市場の展望)をもとに、タワーマンション投資の観点から要点を解説します。

為替の動き、都市再開発、海外投資マネーの流入という三大要因により、東京のタワマン市場は新たな局面を迎えています。

価格上昇が続く中で、金利変動や供給動向などリスクも視野に入れ、「今は買いか?待ちか?」という問いに戦略的視点から迫ります。

目次

経済・為替が動かす価格上昇の原動力

2025〜2030年の東京不動産市場を語る上で重要な“マクロ変数”は、「超低金利からの変化」「円安」「政府の再開発政策」の3点です。

円安の恩恵は特に大きく、2022年から2025年にかけて円は対ドルで20〜30 %ほど価値を落とし、海外投資家から見れば東京の物件は割安に映っています。東京はアジアのティア1都市として面積あたりの価格では依然として魅力的です。

国内需要も堅調で、全国的には人口減少局面にある中、東京23区では若手プロフェッショナルの流入が続いており、賃貸需要がタイトである点が価格を下支えしています。

政府は「国家戦略特区」などによる都市再開発やエネルギー効率住宅の推進、外国資本誘致などを進めており、都心のタワーマンションなどブランド価値のある不動産にとって追い風となっています。

一方で、金利上昇の波が控えており、借入での購入を想定している場合は、金利の上昇によって支払い負担が増す可能性があります。こうしたマクロ視点を把握しておくことが、投資判断の基盤になります。

都心 vs 郊外、そして伸びる新市場

住宅市場全体では、「都心部が今なお強い」「郊外の注目」「家具付き/短期賃貸という新セグメント」の3つが主なトレンドとされています。

都心中心部(例:渋谷区・目黒区・港区)では、2024年に平均マンション価格が1億円超に達し、今後もゆるやかな上昇が見込まれます。高所得層、外国人駐在員、企業役員などがターゲットとなるタワーマンションは、価格の下支え力が相対的に強いと言えるでしょう。

一方、郊外エリア(例:吉祥寺・立川・大宮など)では、駅からのアクセスが改善され、広めの間取りが取れる点から「住みやすさ重視」のニーズが高まりつつあります。こうしたエリアでは将来的な価値上昇の可能性が期待されます。

また、家具付き/短期賃貸(長期滞在型、外国人向け)というニッチなマーケットが急成長しており、賃料を従来より20〜30 %高く設定できるケースも見られます。タワーマンションの運用を検討する際には、こうした収益性向上の選択肢も視野に入れるべきでしょう。

タワーマンション投資においては、「都心・高級型」「郊外・広め型」「運用型(家具・短期賃貸)」という3つの方向性が存在し、キャピタル重視かインカム重視かという投資目的に応じたポジション設定が重要となります。

10年持って勝つ人、損する人の違い

東京の不動産市場は、派手なバブル型ではなく、静かで着実な“スローブーム”に入っている段階です。短期で大きく儲けるというよりは、長期的に価値を維持・上昇させる戦略が有効とされています。

都心タワーマンションであれば、築年数が浅く駅近・ブランド力のある物件を選び、10年スパン以上で保有しながら出口戦略を立てる方が、資産価値の維持・成長に有利です。住戸タイプは1LDKや2LDKが人気であり、築年数や立地の選定は慎重に行うべきです。

インカム重視の場合は、郊外エリアや小規模集合住宅・サービス型賃貸物件を用いて、利回り5‑6 %を狙う投資も有効です。特に「郊外×駅近×1R(スタジオタイプ)」の組み合わせは賃貸需要が高く、回転率の良さが強みです。

また、金利上昇リスクへの備えとして、自己資金比率を高めたり、固定金利を活用したりするなど、守りの資金戦略も重要です。

短期転売を狙うフェーズではなく、築年数やエリア特性を味方に付けた「長期保有+出口戦略」の組み立てが、現在の東京タワーマンション市場において現実的かつ有効な投資方針といえます。

“今が買い時”といえる3つの根拠

供給・需給バランスとリスク要因も押さえておきたいポイントです。

東京では新築供給が制限的であり、建設コストの上昇や厳しい用途規制により、新築物件の供給数が抑えられています。これはタワーマンションの希少性を高め、価格の下支え要因となっています。

一方で、金利上昇はリスク要因の一つです。借入金利が上昇すれば、購入希望者の心理的ハードルが上がり、取引が鈍化する可能性があります。今後の金融政策の動向が投資タイミングに大きく影響するでしょう。

また、円高への反転、人口の高齢化、自然災害リスク、税制の見直しなども視野に入れる必要があります。東京の市場は安定しているとはいえ、リスクゼロではないという認識が重要です。

利回り面では、都心の高級エリアで3〜3.5 %、郊外では5〜6 %という水準です。単に利回りの高さだけでは評価できず、資産性や流動性を含めた総合的な判断が求められます。

買いのタイミングとしては、供給がさらに拡大し、金利が急上昇する前という見方もでき、現段階での検討は十分に合理的です。ただし、価格がすでに高水準であるため、物件選定と資金計画には慎重さが求められます。

最後に

東京タワーマンション市場は「静かながら、着実な成長局面」にあります。

特に都心のブランドタワーは資産性が強く、郊外・運用型も利回りを狙える魅力があります。ただし、金利・為替・供給変化といったリスクを知り、長期保有を視野に“質”を重視した物件選びをお勧めします。

今が「戦略的に買いを検討するタイミング」と言えるでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次