中古億ション供給が6.5倍に急増──今こそ再考したいタワマン投資戦略

中古億ション調査
  • URLをコピーしました!

2024年に入り、全国の中古億ション供給が大きく拡大しました。株式会社マーキュリーの調査によれば、2024年上半期の中古マンションのうち、億ション(販売価格が1億円以上の物件)の供給戸数は全国で約5,700戸と、2019年比で約6.5倍に達しました。この背景には、物件価格の上昇だけでなく、富裕層のニーズ変化や都市再開発などの外部要因が複雑に絡んでいます。

今回はこのデータをもとに、今後のタワーマンション投資戦略を「短期・長期」「都心・郊外」の両軸で読み解いていきます。

目次

大阪・東京を中心に拡大する供給と投資判断

中古億ション供給が6.5倍に急増 資料1

特に注目すべきは、大阪府で2019年比約15倍、東京都でも約6.6倍にまで供給が増えているという事実です。これは新築時に1億円未満だった物件が、中古市場で1億円を超える価格で取引されるようになっているためであり、価格上昇の一つの証左といえるでしょう。

短期投資家にとっては、このような価格上昇フェーズは転売益を狙う好機です。ただし、今後の供給増加が一巡すれば、需給バランスが崩れ価格下落に転じるリスクもあります。一方で、長期保有を志向する投資家には、タワマンのブランド力・立地力・共用施設の充実が、中長期的な賃貸需要の強さと安定したキャッシュフローをもたらすと考えられます。

超高額帯市場の拡大と出口戦略

中古億ション供給が6.5倍に急増 資料2

東京都内では、取引価格が4億円を超え、10億円に迫る中古億ションも登場しています。他府県でも3億円以上の物件が目立つようになり、富裕層のニーズの多様化が顕著になっています。

このような高額帯物件の増加は、資産の組み替えや相続対策の一環としてタワーマンションを選択肢にする動きと密接です。投資家としては、これら高額物件を通じた出口戦略──すなわち、ある程度の期間保有後にキャッシュ化を図る──を柔軟に設計する必要があります。特に東京湾岸・港区エリアなどでは、今後の再開発による資産価値向上を前提にした中長期保有も有効な戦略です。

タワマンがけん引する市場構造とエリア戦略

中古億ション供給が6.5倍に急増 資料3

中古億ションの中でも、タワーマンションの存在感がますます大きくなっています。大阪府や神奈川県では億ション供給の大半がタワーマンションで占められ、東京都でもその比率は約半数に達しています。一方、景観規制がある京都府などではタワーマンションの供給が限られ、非タワー高級マンションが主流です。

これは投資家にとって、物件種別とエリア特性の組み合わせによる戦略の幅を広げる好機です。眺望や共用部の充実度といったタワマン特有の強みに加え、京都のような規制エリアでは「希少性」という資産価値を訴求材料とすることができます。

価格高騰と供給増が進む今、投資家が取るべき行動とは

現在の中古億ション市場は、価格上昇と供給拡大が同時に進む“過熱”ともいえる局面にあります。こうした環境下での投資は、短期売却益を狙うには慎重な見極めが求められます。一方、長期戦略においては依然として有望です。特に都市型タワーマンションは、今後の金利上昇局面やインフレ環境下においても、相対的に資産価値を維持しやすい存在といえるでしょう。

このような変動期だからこそ、「どのエリアで」「どの規模の物件を」「どれだけの期間保有するか」という基本戦略を再確認し、市場サイクルを見極める目を養うことが求められます。富裕層投資家としては、今こそ冷静に構造変化を捉え、長期的な資産防衛と資産成長の両立を図る時です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次