近年、タワーマンション投資の風向きが緩やかに変化しています。
そんな中、政府の成長戦略パネルのメンバーでもある経済学者の会田卓司氏が「日本銀行は12月の利上げを避け、少なくとも来年1月まで待つべきだ」と語ったことが注目を集めています。
タワーマンションの売買を検討する50～60代の富裕層投資家にとって、この発言が「今は買いか、待ちか」を判断する上で重要な示唆となります。
政策金利動向とタワマン市場の関係
会田氏は、今年第3四半期に日本経済が縮小した可能性を指摘し、今年12月の利上げは「かなりリスクが高い」と警告しています。実際に、タワーマンション投資においては、住宅ローン金利の上昇が支出増・収益減に直結するため、中央銀行の金利判断は大きな影響要因です。
例えば、都心部のタワーマンションをローンを活用して購入する場合、金利が上がれば利回りが低下し、宅配需要・賃貸需要が鈍化すると、キャッシュフローに悪影響が出ます。つまり「金利が上がるならば慎重に」「金利が据え置かれるならば踏み出しどき」という構図です。
会田氏の発言が示すように、12月の利上げ回避が有力ならば、短期的には買いやすい環境が維持される可能性があります。
タワーマンション投資戦略、今は“待ち”か？
では、投資戦略として「今、買いか？」を考えるうえで重要なのが以下の視点です。
短期売却（転売）狙い：利上げ懸念が後退することで価格上昇期待が残るものの、供給が増える可能性や景気の先行き不透明さを勘案すると、短期での大きなキャピタルゲインを狙うにはリスクが高まっています。
長期保有（賃貸＋出口戦略）：金利が低水準にとどまり、賃貸需要が堅調なエリアを選べば、長期的なインカム確保＋将来的な価値維持を狙う戦略がより安心です。特に都心近接・交通便・ブランド構築がしっかりしているタワーマンションは、金利環境が落ち着いている時こそ健全な投資対象と言えます。
会田氏の発言からは、「今年末にかけての利上げリスクが低下しつつある」という読みができます。よって、「今すぐ飛びつく」よりは、「良条件の物件が出たら長期保有を前提に検討する」という姿勢が現実的です。
都心VS郊外、タワマン投資のエリア選び
利上げ観測が抑えられる状況を踏まて、エリア選びがこれまで以上に重要になります。
都心（23区・主要駅近）：交通便・生活インフラ・ブランド力が三拍子揃っており、賃貸需要・インバウンド・富裕層のセカンドハウスニーズを抱えています。ただし価格水準が高く、供給も多めなので“買える価格帯”と“出口戦略”を慎重に設計する必要があります。
郊外（ベッドタウン・再開発エリア）：価格が割安で新築供給も増えやすい反面、賃貸需要・ブランド価値・流動性に課題が残ることがあります。金利が低く維持されるならば、手が届きやすい価格帯で魅力がありますが、金利上昇リスクが出た際の下落耐性は都心ほど強くありません。
会田氏のコメントは、「政策支援と金融環境の緩やかさ」を前提にしたものであり、都心のブランドタワーマンションが改めて注目される可能性を示唆しています。つまり、都心高グレード物件が“待ち”から“狙い”へと変わるタイミングにあるとも言えます。
供給・需給バランスと今後の展望
タワーマンション市場におけるもう一つの重要な視点は、供給と需給のバランスです。
・新築タワーマンションの供給数が多すぎる時期は、価格上昇が鈍化・あるいは下落するリスクがあります。
・今回、会田氏は「政府の大型支出が2027年以降に成長促進効果を発揮する」と述べています。これには、中期的視点での資産価値維持・キャピタルゲインを期待する見方も含まれています。
つまり、「今は新築供給や景気の本格回復前の時期」ということになり、需給がタイトになった後の上昇局面を長期視点で待つ戦略も有効です。具体的には、今から契約・購入しておき、5年～10年後に成長フェーズに備えるという構えです。
その一方で、供給が急に増えたり、金利が急上昇したりすると価格の下振れリスクが出てきます。よって、購入する物件はブランド力・立地・管理状態が優れており、需給不安に強いタイプを選ぶことが肝要です。
最後に
締めくくりに、今のタワーマンション市場を整理します。
金利動向が落ち着く兆しが見える中、都心ブランドのタワーマンションが長期保有型投資として再注目されています。短期転売を狙うよりも、「良物件を慎重に選び、5年～10年の時間軸でじっくり保有する」といった戦略が現実的です。
特に富裕層ビジネスパーソンや医師の方々には、ライフステージ変化・資産ポートフォリオの観点から、今が“吟味する時”と言えるでしょう。