築30年のタワーマンションに迫る「2つの老い」 – 将来に備える方法

築30年のタワーマンションに迫る「2つの老い」 - 将来に備える方法
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2024年5月6日(月)、日本経済新聞の紙面において『タワマン「築30年」1割、迫る老い』というタイトルの記事が掲載されました。内容によると、タワーマンションには「建物の老朽化」と「住民の高齢化」という『2つの老い』が問題として潜んでいるとのこと。

今回、この記事をもとに、タワーマンションが直面する課題や、これからの対策について初心者でも分かりやすく解説します。

目次

「建物の老朽化」における負担増

マンションの大規模修繕工事は、一般的に12年〜15年の周期で行われています。実際に、国土交通省が公表している長期修繕計画のガイドラインのサンプルでは、25年目に2回目の大規模修繕工事を計画しています。

当然、1回目よりは2回目の方が経年劣化が進んでいるため、より大規模に修繕しなければならなく、費用もその分増えます。修繕箇所としては、屋上防水やエレベーターの取り替え、設備の入れ替えなどです。

令和3年に国土交通省が実施した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、半数以上の住民が一戸あたり75万円以上の費用を負担していることが明らかになりました。マンション全体では、修繕費の中央値が7,600万円から8,700万円、平均値では1億1,000万円から1億5,000万円に達するという結果が出ています。

日経新聞によると「これから10年前後で2回目の工事をする必要が出てくる築20年以上は612棟(計17万戸)と3割に達する」とのこと。

これから購入するタワマンの大規模修繕工事の実態や購入後にかかる修繕費などを事前に調べておくと良いでしょう。

なお、下記記事は築30年以上のマンションをリノベーションする際に、注意していただきたいことを書いているのですが、大規模修繕を迎えるマンション住民にも知っていただきたい話です。漏水問題についての記事ですので、ぜひ読んでみてください。

「建物の老朽化」に備えるために

タワーマンションの大規模修繕工事に備えるためには、修繕積立金の計画的な蓄積、定期的な点検とメンテナンス、専門家の意見を取り入れること、住民間の合意形成、そして緊急時の対応計画が重要です。これらの対策を講じることで、将来の大規模修繕工事を円滑に進め、安心して住み続けられるのです。

修繕積立金の計画的な蓄積

大規模修繕工事に備えるためには、まず修繕積立金を計画的に蓄積することが重要です。修繕積立金は、毎月少しずつ積み立てることで、いざというときの大きな出費に備える資金となります。マンションの管理組合では、修繕積立金の適正な金額を算出し、定期的に見直すことが求められます。また、長期修繕計画を策定し、将来の修繕工事にかかる費用を予測しておくことも大切です。

定期的な点検とメンテナンス

大規模修繕工事を円滑に進めるためには、日常的な点検とメンテナンスが欠かせません。定期的な点検を行うことで、建物の劣化状況を把握し、早期に対策を講じることができます。小さな不具合でも放置すると大きな問題に発展する可能性があるため、専門業者による定期点検を依頼し、必要に応じてメンテナンスを行いましょう。

専門家の意見を取り入れる

大規模修繕工事には、建築士や設備士といった専門家の意見を取り入れることが重要です。専門家のアドバイスを受けることで、最適な修繕方法や使用する材料、工事のタイミングなどを適切に決定できます。管理組合では、信頼できる専門家を選定し、定期的に相談する体制を整えることが求められます。

住民間の合意形成

大規模修繕工事は、住民全員が協力し合うことが成功の鍵となります。工事にかかる費用や期間、工事内容について住民全員が理解し、納得することが大切です。そのためには、定期的な説明会や意見交換会を開催し、住民の意見を聞きながら合意形成を図ることが重要です。また、修繕工事に関する情報を透明性を持って共有し、信頼関係を築くことも大切です。

緊急時の対応計画

大規模修繕工事中には、予期せぬトラブルや緊急事態が発生することもあります。こうした場合に備えて、緊急時の対応計画を策定しておくことが必要です。例えば、工事中にエレベーターが使用できなくなった場合や、水道や電気の供給に問題が生じた場合などの対応策を事前に考えておくことで、住民の不安を軽減し、スムーズに対応できます。

「住民の高齢化」における課題

築30年を迎えるタワーマンションは、建物自体の老朽化だけでなく、住民の高齢化も大きな問題です。

住民の高齢化が進むと、修繕やメンテナンスに対する理解や協力が得にくくなる場合があります。例えば、高齢の住民は固定収入が限られているため、大規模修繕のための費用負担が重く感じられることが多いようです。また、身体的な制約から日常の清掃や簡単な修繕作業を自ら行うことが難しくなり、結果として共用部分の美観や機能性が低下する可能性があります。

さらに、緊急時の避難やエレベーターの故障など、日常生活におけるサポートが必要となるケースが増えるため、マンション全体での支援体制やコミュニティの結束も求められます。

住民同士、コミュニケーションを深めて、信頼関係を築いておくと対応しやすくなります。

タワーマンションの未来を見据えて

将来のために、タワーマンションの維持管理を計画的に行うことが重要です。まずは、定期的な点検とメンテナンスを怠らず、問題が発生する前に対処することが大切です。また、修繕積立金を適切に管理し、必要な時に資金が不足しないようにするための計画を立てることが必要となります。さらに、住民間の合意形成をスムーズに進めるために、日頃からコミュニケーションを交わし、信頼関係を築いていただければと思います。

タワーマンションの老朽化は避けられない問題ですが、適切な管理と計画的な修繕により、その影響を最小限に抑えることが可能です。住民の協力とコミュニケーションが鍵となります。これからのタワーマンション生活を安心して送るために、今からできることを始めましょう。

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