マンションリサーチ株式会社が、2025年2月14日に発表した『中古マンション市場実態調査』では、一部の高額物件の取引が東京都心全体の平均単価を押し上げていることが明らかになりました。
特に都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の富裕層向け中古マンションが活況を呈し、9,000万円以上の物件が次々と成約。しかし、この価格上昇は市場全体に波及しているのか、それとも特定の高額物件に限られた現象なのか?
本記事では、最新の市場データをもとに、不動産投資家が注目すべきポイントを詳しく分析します。
富裕層が注目する都心5区の中古マンション価格が高騰

2025年1月、首都圏の中古マンション市場において、特に東京都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の富裕層向け物件が急激な価格上昇を見せています。この動向は、首都圏全体の平均成約坪単価を押し上げる要因となっています。
一方で、他の三県(埼玉県、千葉県、神奈川県)や都心5区以外の区部では、価格は横ばいもしくは緩やかな上昇にとどまっており、都心部とそれ以外のエリアでの価格二極化が鮮明になっています。
9,000万円以上の高級中古マンションが売れ続ける理由

特に、9,000万円以上の富裕層向け中古マンションの成約坪単価が顕著に上昇しており、2024年12月から2025年1月にかけて大幅な伸びを記録しています。この現象は、都心部の高級物件への需要が依然として強いことを示唆しています。
これにより、都心5区の高級中古マンションは依然として魅力的な投資対象といえます。しかし、価格の高騰が続く中、投資判断には慎重さが求められます。物件選定の際には、立地や物件の希少性、将来的な資産価値の維持・向上の可能性など、多角的な視点からの評価が重要です。
都心以外のエリアは安定市場?投資の選択肢としての可能性

また、都心部以外のエリアでは価格が安定しているため、安定した賃貸需要を見込める物件への投資も検討に値します。特に、都心へのアクセスが良好で生活環境が整ったエリアの物件は、長期的な視点で安定した収益を期待できる可能性があります。
たとえば、神奈川県の横浜エリアや千葉県の湾岸エリアでは、比較的手頃な価格帯のマンションが供給されており、今後の価格上昇の余地も残されています。都心5区の高騰した市場と比較し、賃貸運用による安定収益を狙う投資家には魅力的な選択肢となるでしょう。
2025年の中古マンション市場は「二極化」が加速する?
総じて、首都圏の中古マンション市場は、都心部の高級物件とそれ以外のエリアでの価格動向が二極化しています。高級マンションを購入する投資家は、短期的なキャピタルゲインを狙うのか、長期的な資産保全を重視するのか、明確な戦略を持つことが求められます。
一方、比較的安定した価格帯のエリアでは、堅実なインカムゲインを狙う戦略が有効です。都心5区の市場が過熱する中で、今後の投資判断には、より慎重な目線が必要となるでしょう。
また、タワーマンション市場に目を向けると、高層階のプレミアム住戸の価格上昇が顕著であり、富裕層の需要が依然として強いことがわかります。しかし、タワマン特有の管理費の高騰や修繕積立金の上昇が懸念されるため、ランニングコストを含めた長期的な視点での投資判断が重要です。
2025年、中古マンション投資の「買い時」はどこにあるのか?今後の市場動向を注視しながら、賢い投資判断を下していくことが求められます。
【専門家の視点】一部の高額物件が市場全体の単価を押し上げる意味とは?
一部の超高額な中古マンションの取引が増えたことで、東京全体の単価が上昇しているということは、市場の実態を慎重に見極める必要があることを示しています。
まず、この現象が表しているのは、「市場全体が均一に値上がりしているわけではない」という事実 です。価格上昇を牽引しているのは、特定の高額物件であり、すべてのエリアや物件が同様に値上がりしているわけではありません。これは、不動産市場の「二極化」が加速している証拠ともいえます。
① 富裕層の動きが市場に与える影響
超富裕層が購入する9,000万円以上の高級マンションが多く取引されていることで、東京都全体の平均坪単価が上昇している可能性があります。つまり、一般的な価格帯のマンション市場は、必ずしも同じような上昇を見せているわけではない という点がポイントです。
② 実需層と投資家の視点の違い
一般の実需層にとっては、平均単価の上昇は「マンション価格の高騰」として認識されやすいですが、投資家視点では、「市場全体が上がっているのではなく、特定の富裕層マーケットが活況なだけ」と冷静に見るべきでしょう。
③ 投資家が注意すべきポイント
投資家にとって大事なのは、価格上昇の波にどこまで乗れるか、またはすでにピークに達しているのかを判断すること です。
- 高級物件の価格上昇は続くのか? → 外国人投資家の動向や経済状況が影響する
- ミドルクラスのマンション市場はどうか? → 金利上昇の影響を受けやすく、過熱感のある市場では慎重な判断が必要
- 都心部以外のエリアとの比較 → 安定した収益を狙うなら、価格の振れ幅が少ないエリアも視野に入れるべき
まとめ
今回の中古マンション価格上昇の背景を見極めることで、投資戦略の方向性を考えることができます。
「市場全体が値上がりしている」と単純に捉えず、どのエリア・どの価格帯の物件が上昇しているのか?その要因は何か? を分析することが、成功する投資家に求められる視点です。