2024年6月12日付け、日経新聞の朝刊1面に「首都圏マンション工期3割長く」といった記事が載っていました。内容は、建設や電気設備工事関連の人手不足が影響し、工期が延びているとのこと。
マンション完成にかかる期間の目安は一般的に「1フロア=1カ月」が目安で、50階建てのタワーマンションだと、50階+3カ月となり53カ月(4.4年)かかりますが、人手不足が問題となっている現在、階数に10カ月足すのが常識となりつつあるそうです。
50階建てだと60カ月(5年)で、6カ月分の人件費がかさむことになるんですね。
建設業の就業者数は2003年~2023年の20年間で約2割減少し、この人手不足に加えて工期を延ばす要因となったのが2024年4月から始まった時間外労働の規制化です。
働き方改革が推進された2015年以降から週休2日(4週8休)を導入する企業が増え、建設業に従事する労働者の総労働時間は1カ月あたり4%短くなりました。さらに時間外労働の規制化適用とのことで、総労働時間はより減少すると考えられます。
時間外労働規制の影響は物流業界がピックアップされがちですが、建設業界も同様の現象が起きているんですね。
実際、エレベーターの設置を行う日立ビルシステムでは、2024年4月以降、建設現場の労働時間を短くせざるを得なくなり、新設エレベーターの施工能力が年間300台ほど減ると試算したそうです。
工期が延びれば建物建設にかかる人件費も増えるわけですから、マンション販売価格に転嫁されることとなります。2024年問題の影響はじわじわと本格化し、工期の長期化と販売価格の上昇は絶対と言えるでしょう。
不動産調査会社東京カンテイの研究員によると、新築マンション価格は今後、年数パーセントのペースで上昇する見込みとのことです。
新築から中古、賃貸に流れる傾向が強まりそうですね。