新築マンションの価格が急上昇する中、築30年以上の中古マンションが密かに人気を集めています。ファミリー世帯に築古中古マンションが人気を集める一方、築古中古マンションには思わぬリスクも存在し、リノベーションされた物件を購入した人や物件をリノベーションした人が頭を抱える事態も起きています。本記事では、築古中古マンションの人気の理由とリスクを解説します。
築古中古マンションをリノベーションして購入する理由
築古中古マンションをリノベーションして購入する主な理由は、新築マンションの急激な価格高騰と中古マンションの広さに関連しています。近年、東京23区の新築マンションは地価上昇と資材高騰が販売価格に反映され、ついに平均価格が1億円を突破しました。
また、新築マンションの平均専有面積は2002年に78.6㎡あったものの、2023年には64.7㎡まで狭くなり、過去20年で15%以上縮小しています。
30年前のマンションでは、80㎡を超える物件もあったほどです。
新築マンションは価格が高いうえに手狭という背景に加え、自分の好みに合わせて内装を変え「自分達らしい家」を実現できるリノベーションが決め手となり、築古中古マンションを選択するファミリー層が多くなっています。
築古中古マンションをリノベーションして住む漏水リスク
価格を抑えて、自分達らしい住まいを手に入れられる魅力がある一方、築古中古マンションの購入には、目視できないリスクが含まれます。それは、経年劣化による漏水問題です。
築30年を迎えるマンションには銅で作られた給湯管が使われており、長い年月をかけ、小さな穴(ピンホール)が開く可能性があります。実は、給湯管のピンホールが漏水の原因第1位を占めているのです。
ピンホールができる理由は、給湯管内を通るお湯に含まれる気泡が管のカーブ部分にぶつかり続けるため。
漏水が発覚するとフローリングを剥がして漏水箇所を探すのですが、実はフローリングを剥がして給湯管が出てくるのは運が良い方なのです。
2000年半ば以前に竣工されたマンションの多くは、壁や床下のコンクリート内に給湯管を通しており、コンクリート内に埋まった給湯管でピンホールが発生すると新しい給湯管の新設工事が必要なんだとか。
しかし、この新設工事はお湯を使用する場所に直接パイプを張り巡らすことから、室内の見栄えを悪くしてしまいます。
せっかくリノベーションできれいにしたキッチンやお風呂も台無しに…。
ちなみに、管理組合でマンション総合保険に加入していれば「漏水調査費用・フローリング復旧費用・階下住戸の復旧費用」は保険金がおりますが、新しい給湯管の工事費用は実費です。
穴が開く前に管内を樹脂コーティングするのも手
ピンホールが発生するのは築20年で約10%、築30年を超えると15~30%にものぼり、漏水するかしないかは運次第ともいえる状況です。
そこでおすすめなのが給湯管の内側に樹脂を流し込み、コーティングするライニングサービスです。リノベーションと同時にライニングサービスを施しておくことで、給湯管に穴が開くのを予防しつつ長寿命化が図れます。
漏水は家具の買い替えや仮住まいを準備しなければならない可能性があるだけでなく、階下の方へ迷惑をかける場合もありますので、竣工後なにも施されていなければライニングサービスを追加しておくことをおすすめします。
中古マンションを購入するなら大規模修繕の工事内容も確認しておこう
マンションは通常、築15年・築30年の節目に大規模修繕を行います。築古のマンションは漏水リスクのほかに、カビの発生や汚水管の腐食も発生しやすくなることから、購入検討する際は大規模修繕時の内容を必ず聞き、購入の判断材料にしてほしいと考えています。
本記事では築30年以上のマンションで問題になっている漏水についてお伝えしましたが、給湯管からの漏水は築10年以上のマンションでも約10%起こり得ます。タワマンであっても起こる可能性のある話ですので、マンション購入時には「配管の工事履歴」を聞いてみてください。
ちなみに、築30年以上のマンションを購入検討する場合は、他にも問題点があるんです。下記記事に書いていますので、参考にしてみてください。