マンションの売却は何から始めればいいのか、自分で行うことや手順など気になることが多いと思います。そこで、本記事ではマンションの査定から確定申告までの流れを解説しました。
マンションを売却する流れ
本記事では、マンションを売却する流れとして下記の内容を解説しています。
- マンションの価値を自分で調べる
- マンションの価値を専門家に評価してもらう
- マンション売却時にかかる費用を調べて資金計画を立てる
- 仲介不動産会社と契約締結させて売却条件を決める
- 仲介不動産会社が売却活動を開始する
- 買い手が見つかれば最終交渉と契約を行う
- 売却代金の受け取りと所有権移転の手続きを行う
- 売却益にかかる税金について税理士へ相談する
- 確定申告の準備をする
- 確定申告の提出と税金を納付する
それでは順に解説します。
マンションの価値を自分で調べる
まずは、住んでいるマンションの価値がどれくらいなのか調べましょう。マンションの価値をご自身が知らなければ、売却価格を設定できません。高すぎて売れない、または低すぎて損をするといったことを避けるためにも、ご自身でマンションの価値を知る必要があります。
ネットで「○○(都道府県) マンション 一括査定」と検索すれば複数の仲介業者で査定してくれますよ!都道府県、市町村を入力するだけで大まかな価格が分かります。
通常、マンションの価値を評価する際は、以下の事項をもとに査定しています。
【物件自体の特性】
- 築年数
- 間取り
- 駅からの距離
- 景観
【生活環境】
- スーパーや公園、学校などの施設の有無
- 治安の良さ、静けさ
- 自然環境
築年数が浅い方が価値が高くなることは知られていますが、実は間取りも価値評価を左右する項目なのです。ファミリー層から需要の高い3DK~4LDKは価値が上がる傾向にあるんですよ。
こうしてマンションの価値を調べる際は、所有するマンションの価値だけを調べるのではなく、売りに出されている同じような周辺マンションの取引価格も調べてみましょう。近辺で売りに出されている同じようなマンションの価格が高ければ、所有する物件の売却価格も想定できます。
マンションの価値を専門家に評価してもらう
大まかなマンション価値が分かったあとは専門家に依頼します。専門家とは売買を専門にしている不動産会社や不動産鑑定士の資格を持つ方です。こうした専門家は過去の取引価格や市場の動向、物件の特性をもとに評価しており、売却価格を決める際の基準となる価格を示してくれます。
専門家に出してもらった適正価格は、買い手との価格交渉時にも役立つでしょう。
ここでのポイントは、信頼できるか不動産会社・不動産鑑定士に依頼することです。もし、知り合いに不動産会社勤務者や不動産鑑定士が居なければ、複数の業者へ査定依頼してみましょう。前述の一括査定サイトを使って依頼できますので、活用してみてください。
マンション売却時にかかる費用を調べて資金計画を立てる
マンション売却時には、買い手を見つけてくれた不動産会社への仲介手数料を支払ったり、売却によって得た利益に対して税金を納めたりしなければなりません。また、ローンが残っている場合は残債を調べて、返済方法を決めるなどの資金計画を立てる必要があります。
仲介手数料や税金については下記記事で紹介していますので、ご参照ください。
当サイトでは、仲介不動産会社を決める前に「売却にかかる費用」を事前に調べ、「売却益の使い方」をあらかじめ決めておくことをおすすめしています。
予期せぬ費用が発生したら、計画が狂って考え事が増えちゃいますものね。
仲介不動産会社と契約締結させて売却条件を決める
仲介不動産会社を選ぶ際は、下記をポイントに選びましょう。
- 地元の市場に詳しいかどうか
- 信頼性があるかどうか
- 売買の実績があるかどうか
地元の市場に詳しい会社は、そのエリアの物件価格や市場動向を深く理解しており、適切な売却価格の設定に役立つアドバイスをしてくれる可能性が高まります。
そして、その会社が過去の取引で良い評価を受けているか、または業界内での評判が良いかなど、その会社を信頼して取引できるかどうかを調べましょう。売買実績があれば、売却までの流れをスムーズに行えるので滞りなく取引を進められます。
しかし何といっても、自分の要望をしっかりと理解してくれ、適切なアドバイスをしてくれる会社が一番です!
仲介不動産会社が決まれば、売却までの期間、売却価格、仲介手数料といった売却条件を決定していきます。
ちなみに…
売買を成立させてくれた会社へ仲介手数料を支払う仕組みとなっていますので、複数社の仲介不動産会社と契約しても問題ありません。
仲介不動産会社が売却活動を開始する
契約を締結させた仲介不動産会社は、物件のプロモーション活動に必要な「物件・立地調査」と「写真撮影」を行います。次に、物件情報をまとめた広告を作成し、不動産情報サイトや店舗のショーウィンドウ、自社Webサイト、SNSといった場所に広告掲載し、集客活動を始めます。
不動産会社は独自のネットワークを活用して、直接買い手に物件を紹介する場合もあるんですよ。いろいろな顧客がいますからね。
そうして見込み客とつながりを持てると内覧会を設定します。売主は必ず内覧会に同席する必要はないものの、同席していれば買い手からの質問に答えられ、買い手の購買意欲が上がるでしょう。近隣の様子や周辺施設、過去の災害状況、管理組合の活動、住んだ感想は答えられると良いですね。
また、入居中の場合だと家具家電の置き場イメージが付きやすくなるため、買い手側に多くのメリットが与えられます。
買い手が見つかれば最終交渉と契約を行う
買い手が見つかったら、最終的な売却価格の交渉が始まります。交渉では物件の状態、市場の動向、買い手の予算などが考慮されて行われます。そのため物件の価値をしっかりと説明し、買い手が納得する価格を提示することが重要です。
物件の特性や周辺環境をお伝えすることに加え、これまでのメンテナンス状況を明確に伝えられると買い手から信頼を得られるでしょう。特に築15年、築30年を迎えるマンションは、修繕積立金の状況を心配する買い手もいますので、きちんとお伝えできると尚良しです。
交渉成立すれば、契約書の作成と署名に進みます。契約書には売り手と買い手双方の義務と権利を保証するための売買に関する重要事項(売却価格、引き渡し日、契約違反時の対応など)が詳細に記載されています。
双方が満足する形で契約書にサインできれば売却手続きは6割完了です。
引き渡し日までの間に買い手から質問が来る場合もありますので、迅速に応じてあげてください。
売却代金の受け取りと所有権移転の手続きを行う
書面での売却手続きが完了した後、売却代金の受け取りと所有権移転に入ります。売却代金の受け取りおよび所有権移転の手続きは物件引き渡しと同時に受け取るのが主流です。
所有権移転手続きとは、土地と建物の所有権を自分から買い手へと正式に移動させる手続きであり、法務局で行われます。専門的な知識が必要なため、司法書士に依頼するのが一般的です。
売却益にかかる税金について税理士へ相談する
不動産の売却益にかかる税金の計算は一見簡単に見えるかもしれませんが、実際には多くの計算項目があり、非常に複雑です。そのため、当サイトでは税理士に相談することを強く推奨しています。
売却価格と購入価格の差額が売却益となり、これが課税の対象です。マイホームの売却であれば、売却益(譲渡所得税)を最大3,000万円まで控除する制度がありますので、ぜひ税理士に相談してみましょう。
下記記事では3,000万円控除の特例制度をご紹介しています。気になる方はご参照ください。
確定申告の準備をする
物件を売却し、売却益が発生すると確定申告(所得税・住民税)をしなければなりません。
売却益とその他の年間所得を合算し、その合計に基づいて所得税と住民税を計算します。計算には、売却益のみならず、年間所得全体に関する情報が必要となります。また、生命保険料控除や医療費控除などがあれば同時に準備します。
3,000万円控除特例を活用する場合はかならず確定申告が必要となりますので、確定申告も一緒に税理士にお願いするとよいでしょう。
確定申告の提出と税金を納付する
確定申告の提出が終わったら、次は税金の納付を行います。住民税は通常、申告期間の終了後に納付期限が設定され、納税通知が送られてきます。納税通知が届いたら指定された期間内に税金を納付しましょう。
所得税については、通知は来ないため確定申告の最終日(3月15日)までに自分で納税する必要があります。
主な納税方法は下記の通りです。
現金の場合
税務署で納付書を取得し、記入して税務署または金融機関窓口で納付
クレジットカードの場合
国税クレジットカードお支払いサイトで納付
スマホアプリの場合※納税額30万円以下に限る
指定された納付事業者が運営するスマートフォン決済専用のWebサイトで納付
参考:国税庁 スマホアプリ納付の手続
コンビニ納付の場合※納税額30万円以下に限る
自宅のパソコン等で作成したQRコードを使用し、指定されたコンビニエンスストアで納付
参考:国税庁 コンビニ納付(QRコード)
また、人によっては還付金が発生する場合があります。還付金は、過去に納めた税金が多すぎた場合や、特定の控除が適用された結果、実際に支払うべき税金が既に納めた税金よりも少ない場合に発生します。
還付金は税務署から直接あなたの指定した銀行口座に振り込まれますよ。
マンションを売却すると同時に「住む物件探し」も必要
マンションを売却する流れを説明しましたが、この諸手続きと同時に住む家を探さなければなりません。そのため、売却と同時に家探しも手伝ってくれる信頼できる不動産会社を選ぶとよいでしょう。
東京ではマンション価値が上昇しており、中でもタワーマンションは価格上昇が顕著になっています。価格上昇を機にタワーマンションを売却される方がいる一方、職場や保育園、スーパー、病院など、生活に関わる施設が徒歩圏内で済ませられることを魅力に感じ、タワーマンションを購入される方もいらっしゃいます。
日本の不動産の資産価値は目減りする一方と言われる中、価格上昇を続け、需要と供給のバランスが良くなっている東京のタワーマンションは売り時でもあり買い時でもあるように感じますよ。