【2024年の税制改正】タワマンにおける相続税・贈与税の新しい評価計算方法

【2024年の税制改正】タワマンにおける相続税・贈与税の新しい評価計算方法
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2024年1月、タワーマンション(タワマン)を巡る税制が大きな転換点を迎えました。

「タワマン節税」を抑制するため税制改正が施行され、これまでの税の優遇措置が見直されたのです。

このように、マンションに関する評価計方法は3年ごとの固定資産税評価の見直し時期に合わせて、適宜見直されています。つまり、今回ご紹介する新たな計算式は、2026年までは有効ということ。

相続税・贈与税の新たな評価計算式とともに、税制改革が具体的に何を意味し、どのような影響を及ぼすのかについて詳しく解説します。

目次

2024年の税制改正に至るまでの経緯

今回の税制改革を語る前に、まず「タワマン節税」について紹介する必要があります。

タワマン節税とは?

「タワマン節税」とは、タワーマンション(60m以上の超高層マンション)の上層階住戸を利用した節税手法です。

タワーマンションの市場価格は階が高いほど高額になるが、相続税の評価では全住戸が床面積に応じて均一評価されるため、高層階の住戸は相続税の評価額が市場価格よりも大幅に低くなることから節税効果が生まれます。

この差を利用し、相続税負担を削減する手法が、タワマン所有者に活用されたのです。

それが「タワマン節税」として周知され始め、税務当局は厳しい視線を向けたのです。

タワマン節税を抑制するための税制改正

国税庁は過去にタワーマンションを対象にサンプル調査を行い、時価と相続税評価額の乖離が平均3.04倍に達することを確認しました。

これを受け、2017年に固定資産税の評価方法を改正し、階数に応じて税額を調整する新ルールを導入しました。さらに、特定のケースでは「総則6項」を適用し、市場価格に近い評価額での相続税の計算を行うよう指示しています。

そして、2024年1月、相続税評価の算定ルールそのものを見直し、新たな算定ルールが適用されました。

この新ルールでは、マンションの相続税評価額が実勢価格の平均6割以上に引き上げられることになり、従来よりも節税効果が減少する見込みです。

つまり、今回の税制改革は、タワマンを利用した節税手法への規制が強化され、相続税評価額と市場価格との乖離を縮小させることが目的とされています。

税制改正の背景とタワマン節税の変革

前述の通り、今回の税制改正は、タワマン所有者に特有の税の優遇措置を抑制することを主眼に置いています。

今回の税制改正により、実価格と評価額の差があるタワーマンションは、より正しい評価が求められることになり、税負担が増加します。しかし、不動産価値を正しく評価されるようになったと思えばいいのです。

2024年からの具体的な改正内容

改正内容の主なポイントは、タワマンの固定資産税と相続税の計算方法の変更です。

特に相続税評価額の計算において、土地の路線価や建物の固定資産税評価額に基づく現行の方法が見直され、実勢価格との乖離を小さくするための調整が行われます

2023年12月までのタワマン評価額の計算方法

かつての評価方法では、現金で相続するより、同様の金額の不動産を相続する方が、圧倒的に相続税が安くなりました。タワーマンションくらいの高額な資産であれば、なおさら相続する方が有効なのです。その理由は下記でした。

◆不動産の評価額の計算
不動産の評価額=土地の取引価格×80%+建物の購入金額×50〜60%

これは、土地の評価額を算出するための、もととなる路線価(土地が面している道路の価格)が公示地価や実勢価格の80%程度になっていること。さらに、建物を評価に使用する固定資産税評価額が、一般的に売買価格の50〜60%で計算されることによるものです。

単純に下記のような構図になっていたわけです。

1億円の現金→1億円の相続税
1億円のタワマン→7,000〜8,000万円の相続税

ざっくりとした計算ですが、どちらがお得かは明確ですね。このようなことがまかり通っており、今回の税改正へと踏み出されたのです。

2024年の税制改正によるタワマン評価方法の変更点

タワーマンションの市場価値が一般的に高いことを考慮し、新しい計算式には「乖離率」「評価水準」という二つの指標が導入されました。評価額の計算式は、以下のように設定されています。

◆タワマンの評価額の計算式
評価額=現行評価額 × 乖離率 × 評価水準(最低評価水準0.6)

この式の核心部分には、市場価格と相続税評価額の差を示す「乖離率」が設けられています。乖離率は以下の式で計算されます。

◆乖離率の計算式
乖離率 = 市場価格 ÷ 相続税評価額

乖離率は、市場価格と相続税評価額の比率を示し、この値が高いほど市場価格との差が大きいことを意味します。たとえば、国税庁のデータによると、過去数年の乖離率は2.3〜2.4程度であるとされています

評価乖離率には、マンションの評価に影響を及ぼす以下の要素が加味されます。

  1. 築年数:新しいマンションほど評価乖離率は低く設定され、築年数が増えるほど乖離率は高くなります
  2. 総階数指数: マンションの総階数を33で割り、その値が1.0を超える場合は1.0として計算します。これは高層マンションの階数が評価に大きく影響するためです
  3. 所在階: 部屋が位置する階も重要で、高層階の部屋ほど評価が高くなります
  4. 敷地持分狭小度: 一室あたりの敷地の割合が小さいほど、評価乖離率は高くなります

これらの要素を以下の公式に適用して評価乖離率を算出します。

◆評価乖離率の計算式
評価乖離率 = (築年数 × -0.033) + (総階数指数 × 0.239) + (所在階 × 0.018)+ (敷地持分狭小度 × -1.195) + 3.220

評価水準は、市場価格に対する公平な評価を確保するために導入され、以下のように計算されます。

◆評価水準の計算式
評価水準 = 1 ÷ 評価乖離率

この計算結果に基づいて、評価額を市場価格の最低60%に設定する目的があります。これにより、税制の公平性が保たれることを目指しているのです。

新しい計算方法でタワマンの評価額を計算してみよう

では、具体的に計算してみましょう。

下記のタワーマンションがあったとします。評価額はいくらでしょうか?

現行の相続税評価額:8,000万円
マンション築年数:7年
マンションの総階数:40階建て
対象となる部屋の所在地:25階
マンションの敷地面積:4,000平方メートル
マンション一室の敷地権割合:1/120
マンション一室の専有面積:60平方メートル

タワーマンションの新しい評価額を計算するには、まず評価乖離率を算出し、それを用いて評価水準を求め、最終的に新しい評価額を出す手順を踏みます。以下に示すのは、提供されたデータを基に計算を行う過程です。

評価乖離率の算出

先ほどのデータを用いて、以下の要素に基づき評価乖離率を計算します。

築年数:7年
総階数指数:40階建てのため、総階数を33で割ると1.21ですが、1.0を超える場合は1.0とします
所在階:25階
敷地持分狭小度:敷地面積が4,000平方メートル、敷地権割合が1/120で専有面積が60平方メートルです。この計算により、敷地持分狭小度は (4000×1/120)÷60​≒0.556 となります

これらの情報を用いて評価乖離率の計算式に代入します.

評価乖離率=(7×−0.033)+(1.0×0.239)+(25×0.018)+(0.556×-1.195)+3.220

計算を進めると

評価乖離率=(−0.231)+0.239+0.45−0.664+3.220=3.014

つまり、評価乖離率は3.014となります。

評価水準の算出

評価水準は評価乖離率の逆数で算出します.

評価水準=1/3.0141​≒0.332

評価水準が0.6未満のため、評価額を市場価値の60%に補正します。

新しい評価額の算出

新しい評価額は次のように算出されます。

新しい評価額=現行の相続税評価額×評価乖離率×0.6

つまり、こうなります。

新しい評価額=80,000,000×3.014×0.6=144,672,000円

したがって、提供されたデータに基づき計算した結果、新しい評価額は約1億4467万2000円となります。

この計算により、改正後の評価額が現行の評価額を大幅に超えることが分かります。これは評価乖離率が高く、評価水準が0.6の補正を受けたためです。

以前の評価額:8,000万円

新しい評価額:約1億4467万2000円

以前の評価額と比べると大きな差があるのが分かりますね。

今後、相続税と贈与税はこの評価額に従って計算されることとなります。

影響を受けるタワマン住民の対策

税制改正による影響を最小限に抑えるため、タワマン住民は相続発生前に適切な資産評価や税務計画を行うことが重要です。また、節税を目的とした資産の再評価や、相続税対策専門のコンサルタントとの協力も有効な手段となり得ます。

節税という観点では、他にも対策方法がありますので、詳しくはこちらを参考にしてください。

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税制に関しては、今後も変更される可能性があるので、いち早く新しい情報を入手し、対応していただければと思います。タワマンマニアでもなる早でお伝えしますね。

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