「住まいサーフィン」が発表した「関西圏における中古マンションの価格値上がり率ランキング」で、棟数20棟以上部門では阪急阪神不動産が8年連続1位を獲得!いやぁ、圧倒的ですね。
しかし、一方、棟数20棟未満部門では積水ハウスが堂々の首位に輝きました。今、関西のタワーマンション市場では、2つのブランドが異なるアプローチで注目を集めています。
本稿では、関西における投資戦略を「デベロッパー」という視点で解説します。
阪急阪神が8年連続でトップに君臨

関西圏での売主別価格上昇率で、阪急阪神不動産が8年連続1位を維持しました。この背景には、「ジオ」シリーズに代表されるブランド力と、京都・大阪の都心部という堅実な立地選定があります。特に阪急沿線エリアは、交通利便性・住環境・治安の三拍子が揃い、ファミリー層の支持を集めています。
まさにその特徴が、中古市場での希少性が際立たせているように感じます。これが価格の下支え要因となり、投資家にとっては“買った後に下がりにくい”という大きな安心材料になります。築10〜15年経過した物件でも値下がり幅が小さく、長期保有に向いた資産性が評価されています。
長期目線の投資家にとって、阪急阪神ブランドは「守りの資産」。特にフルキャッシュや固定金利ローンを活用することで、金利上昇リスクにも備えられるでしょう。
積水ハウスが棟数20棟未満部門で首位に

今回のランキングで注目すべきもうひとつの存在が、棟数20棟未満部門で1位にランクインした積水ハウスです。同社は数こそ多くないものの、一棟一棟の品質にこだわった分譲が評価され、高い価格上昇率を記録しました。
特に「グランドメゾン」シリーズは、省エネ性や快適性に優れた設計と、持続可能な街づくりを意識した計画性が支持されています。これにより富裕層やシニア層からの永住需要を獲得しやすく、築年数が経っても資産価値を維持する傾向にあります。
また、積水ハウスは管理水準も高く、共用部の美観や住民満足度の維持に注力している点も魅力。今後は物件数が少ないがゆえに、中古市場での希少性がより強まると予想され、「選ばれし物件」としての価値を高めていくでしょう。
供給と金利環境、今は買い時か?
現在の関西タワマン市場は、「供給制限」と「金利上昇」の二重構造にあります。2024年から2025年にかけての新築供給は限定的であり、中古物件への需要が高まる中、価格上昇が続く可能性があります。特に阪急系や積水系物件は、もともとの供給数が限られているため、さらに希少性が増しています。
一方で、日銀の金融政策の転換により、今後の住宅ローン金利の上昇は避けられません。投資家としては、変動金利での借入は慎重に検討すべきタイミング。現金購入や、固定金利ローンとの併用といった資金計画が求められます。
今は“誰でも買えば儲かる”時期ではありません。物件の目利き力と、持ち続ける覚悟が問われるフェーズ。選び抜かれた阪急・積水ブランドの物件は、こうした環境下でも安心して保有できる、頼れる選択肢といえるでしょう。
ブランドの価値は不変か?
阪急阪神不動産と積水ハウス、それぞれのブランドが持つ強みは異なりつつも共通しています。それは「信頼」「品質」「管理力」の3点です。
阪急は駅近高層タワー、積水は環境性能と住環境重視の中規模マンション。それぞれの物件が対象とする層は異なりますが、共通するのは「中古でも選ばれる」こと。これは投資家にとって、出口戦略の立てやすさという大きな利点になります。
今後、関西タワマン市場では「高層だけが価値」ではなく、「希少性と信頼性」がより重要視される時代になります。阪急と積水、異なる角度からその価値を高める2ブランドが、関西市場を牽引していくのは間違いないでしょう。
注目のブランド、関電不動産開発
関西圏の中古マンション市場で安定した実績を持つもう一社が「関電不動産開発」です。ランキング上位には入りませんでしたが、大阪・北浜や京町堀、天満橋など、都心再開発が進むエリアで存在感を示しています。
「シエリア」ブランドは過剰な設備ではなく、実用性と暮らしやすさに配慮した設計が特徴です。特に中規模~大規模物件では、価格を抑えつつも基本性能が高く、投資と実需のバランスがとれた物件として評価されています。
また、関電系という背景から、長期的な電力供給・設備面での安心感があり、管理面でも安定性が高いとされています。今後は、再開発エリアでのプロジェクトが評価されることで、資産性の伸びしろも期待されます。阪急・積水に次ぐ「第3の選択肢」として、注目すべきブランドの一つです。
関西のタワマンはどこが狙い目か?

エリア的なことにも触れておきましょう。
エリアで今注目すべきは、京都市中心部と大阪の北浜・中之島エリアです。
京都は新築規制が厳しく、供給が限定的。そのため中古市場での競争が激しく、「ジオグランデ」シリーズなど希少な阪急物件は資産価値が高止まりしやすい特徴があります。
大阪市中心部では「うめきた2期」や中之島再開発の進展に伴い、エリアの将来性に対する期待が高まっています。これらの立地にあるタワマンは、眺望・利便性ともに優れており、富裕層の「終の住処」としても選ばれやすいのが特徴です。
特に梅田周辺の阪急物件は、高層階プレミアム住戸の人気が根強く、賃貸運用でも安定した収益が見込めます。どの街に資産を預けるかという視点で、関西のタワマン選びはますます戦略的になってきたように感じます。
最後に
関西のタワーマンション市場は、今まさに選別の時代に突入しています。
阪急阪神不動産と積水ハウスの物件は、希少性・立地・ブランドの三拍子が揃った“守りと攻め”の投資対象。金利上昇局面でも安定感を保ち、長期保有に適した資産性を発揮します。
今後も、堅実な投資先を求める富裕層の間で、その価値はますます注目されていくでしょう。