2024年、首都圏における新築分譲マンション市場は、大きな転換期を迎えました。近年の建設コスト上昇や金利動向、都心と郊外での需要の変化が、市場全体に影響を与えたからです。
本記事では、不動産経済研究所が2025年1月23日に発表した「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024年のまとめ」をもとに最新の市場データをもとに、供給動向や価格の推移、今後の展望について詳しく解説します。
マンション購入を検討している方や、不動産投資に関心のある方にとって、2024年の市場トレンドを把握し、2025年に生かすことはとても重要な鍵となるでしょう。
供給減少と市場の現状
2024年の首都圏における新築分譲マンションの発売戸数は、前年比14.4%減の23,003戸となり、1973年以降で最少の水準となりました。特に東京都の供給減が目立ち、東京23区では前年比30.5%減の8,275戸と大幅な落ち込みを見せました。この背景には、建築資材の高騰や人件費の上昇、さらには用地取得の難航が影響していると考えられます。
エリア別の供給状況を見てみると、東京都下は2,041戸(前年比10.0%減)、神奈川県は4,917戸(17.5%減)、埼玉県は3,313戸(9.3%増)、千葉県は4,457戸(20.4%増)と、郊外エリアでは供給が増加傾向にありました。これは、都心の価格高騰を受け、比較的価格が抑えられたエリアへの需要が高まっていることが要因として考えられます。
この傾向に関して、どう捉えるかが重要です。郊外エリアでいいと思っているなら、供給が増えている今はまさに買い時。特に駅から離れた物件では、都心では考えられない条件でマンションを購入することが可能です。永住を考えるなら、郊外エリアを検討してみてもよいタイミングだと思います。ただ、今年の早い段階で良い条件の物件は完売する恐れがあるので、なる早をおすすめします。
価格と契約率の変化
2024年の首都圏における新築マンションの平均価格は7,820万円、1㎡当たり単価は117.7万円となり、いずれも前年を下回る結果となりました。平均価格は3.5%(281万円)の下落、㎡単価は4.0%(4.9万円)の下落となりました。特に、東京23区では平均価格が1億1,181万円と前年より2.6%、㎡単価は171.0万円と1.0%の下落が見られました。
この価格の下落は、過去数年にわたる急激な価格上昇の反動や、高価格帯の物件の販売がやや落ち着いたことが影響しています。一方で、埼玉県や千葉県といった郊外エリアでは価格の上昇が見られ、埼玉県では13.8%増の5,542万円、千葉県では18.9%増の5,689万円となりました。
契約率に関しては、初月契約率が66.9%と2020年以来の60%台に落ち込みました。前年の70.3%から3.4ポイントの減少となっており、特に東京都下や千葉県では契約率の大幅な下落が見られました。
高額物件(億ション)の動向
2024年の億ション(販売価格1億円以上の物件)は3,648戸で、前年の4,174戸から526戸(12.6%)減少しました。これは、高価格帯の物件に対する購入者の慎重姿勢が影響していると考えられます。最高価格帯の物件としては、「クラッシィタワー新宿御苑」が20億円で販売され、専有面積は210.90㎡と非常に広い仕様となっています。
即日完売物件は658戸で、前年の1,118戸(4.2%)から減少し、シェアは2.9%となりました。これは、購入者の選別が進み、即決で購入する層が減少していることを示しています。
販売在庫とフラット35の動向
2024年末時点の販売在庫数は6,814戸で、前年(6,283戸)より531戸増加しました。供給減にもかかわらず在庫が増えている背景には、販売の伸び悩みや高価格帯物件の消化ペースの鈍化があると考えられます。
また、フラット35登録物件は20,111戸で、前年の24,381戸から減少し、全体シェアも90.7%から87.4%へと縮小しました。これは金利上昇の影響でフラット35の魅力が相対的に低下した可能性を示唆しています。
2025年の市場予測
2025年の供給見込みは26,000戸と、2024年比で13.0%増加する見通しです。特に東京23区の供給回復が期待されており、都心の新築市場に活気が戻る可能性があります。ただし、建築コストの高騰や金利の影響、経済状況などの外部要因によっては、市場の回復が鈍るリスクも残されています。
また、定期借地権付き物件の供給は引き続き拡大傾向にあり、価格を抑えつつ立地の良い物件を求める層にとって選択肢の一つとなるでしょう。
まとめ
2024年の首都圏新築分譲マンション市場は、供給減少と価格の高止まり、契約率の低下が目立ちました。都心部では供給が落ち込んだ一方で、郊外では価格上昇が見られ、需要が分散する傾向にあります。
2025年は供給の回復が見込まれるものの、市場の動向は依然として不透明です。購入を検討している方は、金利動向や市場の変化を注視しながら、慎重に検討することが重要です。