都心のタワーマンション購入を検討する人々が増えている昨今、特に注目されるのがパワーカップルやパワーファミリーと呼ばれる高所得層の家庭です。1億円を超える高額なタワーマンションを購入する際には、多くの場合、住宅ローンを組む必要があります。しかし、銀行が融資を行う際、どのような家庭に対して優先的に融資を行いたいと考えると思いますか?
答えは「パワーファミリー」です。本記事では、銀行が「パワーファミリーに融資したい」と考える理由を解説していきます。
パワーカップルとパワーファミリーの違い
まずは、それぞれの定義について整理しておきましょう。
パワーカップル
- 共働きで高収入を得ている夫婦
- 夫婦それぞれの年収が700万円以上、世帯年収が1,200万円以上の場合が多い
- 子どもがいないか、まだ考えていないことが多く、自由なライフスタイルを重視する
パワーファミリー
- パワーカップルに子どもが加わった家庭
- 夫婦どちらかが一流企業の役員や管理職であることが多く年収は3,000万円前後
- すでに持ち家を持っている場合が多い
- 長期的な視点での資産形成や将来の計画を重視する傾向がある
銀行が重視する融資の基準
ここで、銀行が住宅ローンを組む際に重視するポイントを整理しておきます。
- 収入の安定性:長期間にわたって安定した収入を得られるか
- 支出の予測可能性:計画的な家計管理ができるか
- 長期的な信用力:返済が途絶えない確率が高いか
- 担保価値の維持:購入物件の価値が将来的に維持されるか
銀行は上記のことを重視し、融資するかどうかを慎重に決めています。
なぜ銀行はパワーファミリーに融資したがるのか?
では、銀行が1億円超えのタワーマンション購入者に対して融資を行う際、なぜパワーカップルよりもパワーファミリーを好むのか?以下の5つの観点から、その理由を詳しく解説します。
- 収入の安定性
- 支出の予測可能性
- 長期的な信用力
- 担保価値の維持
- 頭金の有無
収入の安定性
パワーカップルは夫婦共にフルタイムで働き、高収入を得ていることが多いものの、ライフステージの変化やキャリアチェンジ、転職の選択肢が多く、収入が不安定になるリスクを抱えています。例えば、どちらかが起業や転職を選ぶと、一時的に収入が減少する可能性があります。
一方で、パワーファミリーは子どもを持つことで家族全体の生活を支える責任が増し、長期的な収入の安定を重視します。子どもの将来を見据えた堅実なライフプランを立てるため、収入の安定性が高く、結果として銀行からも返済リスクが低いと評価されやすいのです。
支出の予測可能性
パワーカップルは自由なライフスタイルを楽しみ、旅行や外食、趣味への支出が多くなりがちです。そのため、収入が高くても支出も多く、急な支出の増加に対応できず家計が不安定になるリスクがあります。
一方、パワーファミリーは教育費や生活費を優先して計画的に家計管理を行い、特に子どもの教育費など長期的な支出を見込みやすいため、銀行にとっても支出パターンが安定していると評価され、返済能力が高いと判断されやすくなります。
長期的な信用力
パワーカップルはキャリアの変化や起業など、ライフステージが頻繁に変わることがあり、さらに将来的に子どもを持つ計画がある場合、出産や育児に伴う支出が増える能性があるだけでなく、産休育休時の収入減少は返済能力に影響を与えるリスクとなります。
一方、すでに家族を持つパワーファミリーは、長期的な計画を重視し、安定した家計を維持しようとする意識が強いため、転職やライフスタイルの大きな変動も少なく、返済計画が安定しています。そのため、銀行にとっては、パワーファミリーの方が信用度が高く、安心して融資を行える顧客と見なされます。
担保価値の維持
パワーカップルはライフスタイルの変化に応じて住居を変更することが多く、購入後数年で物件を売却する可能性が高いため、担保としての物件価値が不安定になりがちで、銀行にとってリスクが伴います。
一方、パワーファミリーは子どもの学校や住環境を重視し、同じ物件に長期間住み続ける傾向があるため、物件の価値が安定して維持されやすく、銀行からの担保としての信頼性が高まります。その結果、銀行はパワーファミリーへの融資をより積極的に行う傾向があります。
頭金の有無
パワーカップルは、これから資産を築いていく段階にあることが多く、十分な頭金を準備できないケースも少なくありません。高収入であっても、ライフスタイルに合わせた支出が多いため、頭金なしでローンを組むことが一般的です。これにより、銀行にとっては融資額が大きくなり、返済リスクが増える要因となります。
一方、パワーファミリーはすでに持ち家を所有していることが多く、ここ10年で値上がりした不動産を売却し、その売却益を頭金として活用するケースが増えています。このように、売却益を大きな頭金に充てることで、タワーマンション購入時のローン額を減らし、銀行にとっても安心感のある顧客となります。頭金の有無は、銀行が融資判断を行う際に重要な要素であり、十分な頭金を持つパワーファミリーは、より低リスクの有力顧客として優遇されやすいのです。
まとめ
銀行が1億円超えのタワーマンション購入者に融資する際、パワーカップルよりもパワーファミリーを優先する理由は、収入の安定性、支出の予測可能性、長期的な信用力、そして担保価値の維持において、より信頼性が高いからです。
パワーファミリーは家族全体の生活を長期的に安定させるための計画がしっかりしているため、銀行も安心して融資を行えると判断します。
タワーマンションの購入を検討している方は、長期的なライフプランを見据えた堅実な資金計画を立て、銀行からの信用を得ることが重要です。