近年、世界で見られるインフレや円安の進行により、外国人にとって日本は「移住先」「投資先」として魅力的な国と映っています。治安の良さや観光資源の豊富さ、自然がありつつも都市部にアクセスしやすい環境は、外国人にとっても住みやすく感じるようです。
本記事では、なぜ日本を移住先に選ぶのか、選ばれた日本はどんな未来になっていくのか、予想してみました。
日本を移住先に選ぶ外国人が増えた理由
過去、タワマンマニアでは、中国人が日本を移住先に選ぶ理由を解説しました。世界的なインフレと円安により、日本は中国だけでなくアメリカやヨーロッパなどから注目を集めています。
ここでは、アメリカ・ヨーロッパなどの国から注目を集めている理由を解説します。なお、中国の富裕層が日本へ移住する理由をまとめた記事がありますので、気になった方はご一読ください。
それでは、解説していきます!
理由1|自国の急激なインフレで生活しづらいため
世界的なインフレの進行により、特にアメリカを中心とした多くの国で生活費が高騰しています。しかし、日本は物価上昇率が他国よりも低く、円安の影響もあり、他国と比べて物価が相対的に安くなっています。
例えば、アメリカやヨーロッパの主要都市では住宅価格が急騰し、生活コストも増加していますが、日本の住宅価格は外国よりも割安で、円安の恩恵を受けて生活コストも抑えられます。そのため、自国を脱出しようと考える人々にとって、日本への移住は現実的で魅力的な選択肢となっているのです。
理由2|自国の経済が崩壊して資産保全するため
経済が崩壊した国といえば、知ってのとおり中国ですね。不動産バブルがはじけて一気に冷え込んだ中国の経済にも注目していますが、2024年8月時点では、中国経済が好転するような話は出てきていません。
中国経済の冷え込みをさらに悪化させるように、2024年7月半ばブルームバーグ通信では、日本・韓国・オランダは輸出規制の対象外ではあるものの、日本とオランダに対しバイデン政権は「中国に半導体技術の提供をし続ければ輸出規制の強化を検討する。具体的には東京エレクトロンとASML(オランダ)は米政府の承認を受けなければ中国へ輸出できない」としています。
2社は一部製品の中国輸出を取りやめていますが、修理や点検業務は続けており、これが問題視され規制強化で中国からの撤退を迫られています。
そして、2024年7月末、アメリカが「中国の半導体工場に外国企業が製造装置の輸出を規制する案を発表した」との報道をロイター通信が発表。半導体製造装置の輸出規制は、軍事利用の懸念を示唆して規制する表向きの理由があるようですが、裏では中国の半導体製造を減速させ、経済に打撃を与えようとしていることも考えられます。
中国外務省の林剣報道官は「中国半導体産業の抑圧を他国に強制する米国の取り組みは世界貿易を損ない、全当事者の痛手になる」と指摘。アメリカの中国に対する規制があるなかでは、中国経済は安定するとは言えないでしょう。
資産保全のために自国を脱出しようと考えるのは無理もありませんね。
理由3|日本の不動産が割安なため
日本の不動産市場、とりわけ「空き家」の存在が海外の投資家から大きな注目を集めています。円安による不動産価格の割安感から、外国人投資家にとって非常に魅力的な市場と映っているようです。
特にリノベーションを楽しむ傾向のある外国人は、日本の古民家や空き家を購入し、自らの手で新しい生活空間を作り出すことに魅力を感じています。
日本国内では空き家問題が深刻化していますが、外国人投資家にとってこれはビジネスチャンスとして映っています。アメリカやオーストラリアをはじめとする外国人投資家が日本の空き家を購入し、住居や投資物件として活用するケースが増えています。
特に地方の空き家は比較的安価で、良質な物件が多く存在することから、今後さらに注目を集めると考えられます。
外資系企業が巨額の投資を予定している
個人の日本移住だけでなく、外国企業による日本への投資も活発化しています。アメリカのメインキャピタルは約5兆円、ブラックストーンは3年で1.5兆円、KKRは10年で1兆円以上、カーライルは日本企業に特化したファンドで4,300億円を投資しています。このように、多くの大手ファンドが日本市場に巨額の投資を行っています。
これらの日本への投資は、中国からの逃避マネーが流れているとも言えますが、円安の影響を受けた日本の市場では高い収益率を期待できるためでもあります。
Microsoftは今後2年間で29億ドル(約4,400億円)を投資すると発表しました。GoogleやAmazonも日本への大規模な投資を計画しています。
こうして、外資系企業が日本に次々と設備投資を行っていますが、外資系企業が日本で儲かるには円安である必要があります。現在の円安は政府主導である可能性があり、為替介入で円高になることもありましたが、各外資系企業が日本へ投資していることから、今後も円安傾向が続くと思われます。
移住先に選ばれた日本が待つ未来
円安になると輸入商品は値上がりし、ガソリンや小麦製品といった生活必需品の値段は上がります。そのため、賃金が上がらなければ国民は困窮してしまいます。
また、外国から人やマネーが流入すると、人気エリアの土地値は上がり、不動産価格も上昇します。
タワマンマニアでは、日本国内の人口減少で不人気エリア(特に地方)の不動産価格は下落すると見ていましたが、円安が一気に進んだことで状況が一変しました。チャイナマネーとパワーカップルの購買力で価格が高騰していた湾岸エリアのタワマンですが、今後はアメリカやヨーロッパからのマネー流入も考えられます。
不動産価格の上昇が止まらず、生活コストが上がり続ける中で、マイホーム購入を考えている方は早めに検討した方がよいでしょう。予算にもよりますが、購入する際は資産価値の高い土地にある物件を選ぶことをおすすめします。
外資系企業が日本へ投資し、外国人が日本へ移住すると聞くと、景気が良くなり賃金が上がり、生活が豊かになるように感じますが、潤うのは円安で利益を享受する外資系企業と、外国へ輸出している日本企業のみです。日本の輸出企業は、外貨を円に換えると円安の状況では損をするため外貨で持ち続け、輸出企業の従業員であっても賃金上昇は見込めないのです。
外国資産を持っていなければ生活が豊かになることはなく、インフレにより生活は苦しい状況が続きます。貯蓄のみで資産を構築している方は、一部投資をして資産防衛をしてはいかがでしょうか。