インフレと金利の関係は、多くの人にとって理解しづらいテーマかもしれません。しかし、インフレが進行すると金利が上昇し、家計や企業の負担が増えることは知っておくべき重要なポイントです。
本記事では、インフレと金利の基本的な関係をわかりやすく解説し、固定金利と変動金利の選び方についても詳しく説明します。将来の金利動向を見据えた賢い選択ができるよう、ぜひ参考にしてください。
インフレと金利の関係をかんたん解説
インフレは、物価が全体的に上がる現象を指します。例えば、1年前には120円で買えたパンが、今では150円になっている場合、それはインフレが進行している証拠です。この現象が続くと、同じ金額で購入できるものが減ってしまい、生活費の負担が増えます。
インフレが進行すると、経済が過熱しすぎて物価が急激に上昇するのを防ぐために、日本銀行は金利を引き上げる傾向があります。金利とは、お金を借りた際に支払う利子の割合を指します。住宅ローンや企業の借入れに対しても影響があり、金利が上がると毎月の返済額が増えることになります。つまり、インフレによって物価が上がり、さらに金利も上がると、家計や企業の負担が増加します。
過去の事例を見てみると、1970年代のオイルショックが典型的な例です。この時期、石油価格の急騰が世界中の物価を押し上げ、結果的にインフレが急速に進行しました。この状況に対応するため、各国の中央銀行は金利を大幅に引き上げました。アメリカでは、連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利(実体経済に見合った水準に誘導するために調節手段)を10%から20%近くまで引き上げ、日本でも日本銀行が同様の措置を取りました。
金利の引き上げは、インフレを抑制するための有効な手段ですが、急激な金利上昇は経済に大きな負担をかけるリスクも伴います。住宅ローンを抱えている家庭や企業にとっては、返済が困難になるケースが増え、経済成長が鈍化する可能性があります。
このように、インフレと金利の関係は非常に密接であり、経済政策において重要な要素となります。
2024年3月のマイナス金利政策解除により金利は上昇すると見られていますが、日銀はオイルショック時のような急激な金利引き上げは行わず、緩やかに上昇させると予想されています。
インフレで金利が上昇する場合の固定金利・変動金利の選び方
固定金利とは、ローンを借りた時点で決まった金利が返済期間中ずっと変わらないタイプの金利です。これにより、毎月の返済額が一定になるため、家計の計画が立てやすくなります。例えば、金利が1.5%で固定されている場合、金利が上がっても返済額は増えません。
固定金利の最大の利点は、将来的な金利の上昇リスクを避けられること。インフレが進行し、金利が上がったとしても、固定金利のローンを選んでいれば、その影響を受けずに済みます。そのため、安定した返済を希望する人や、将来の金利上昇を不安視する人には、固定金利が適していると言えます。
もう少し詳しく解説すると、固定金利は国債市場で取引される10年国債の利回りを基準に金利が決まります。そして、この10年国債の利回りは、ここ5年間(2019年から2024年)で右肩上がりです。インフレに突入した日本は、今後も右肩上がりの利回りになると予測され、固定金利での融資を検討している方は、早めに購入する方がよいでしょう。
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一方、変動金利は、金利が市場の動向に応じて変わるタイプの金利です。最初のうちは固定金利よりも低い金利で借りられることが多いですが、金利が上がれば返済額も増えるリスクがあります。例えば、借りた時点では金利が0.3%だったとしても、数年後には0.5%や0.7%と上がる可能性があるのです。
変動金利の利点は、金利が低い時期には返済額が少なくて済むことですが、金利がコンマ数パーセント上がっただけで返済能力を超えてしまうとなると、生活が苦しくなり、物件を手放すことにつながりかねません。変動金利での融資を検討する場合、現在の利回りより上がってしまっても返済可能か、しっかりとシミュレーションすることが重要です。
とはいえ、短期プライムレートに連動する変動金利は、2011年頃から横ばいの状態が続き、日銀が日本国内の経済実態を見て金利を決めているため、大幅には上げられない側面を持っています。これらを理由に、多くの不動産投資家や専門家は変動金利をおすすめしているのです。
過去インフレで金利が高かった人は”借り換え検討”を推奨
先ほど、変動金利は2011年頃から横ばいの状態とお伝えしましたが、2011年以前にローンを借りて、現在も返済中の方は「変動金利→変動金利」へ借り換えを検討してみてはいかがでしょうか。
というのも、SBI新生銀行の変動金利推移を見ると、2010年は1%、2015年は0.8%、現在は0.6%と右肩下がりになっているのです。右肩下がりになっていた変動金利ですが、ここから少しずつ上昇する見込み。現在0.6%から1%で借りていた方は早めに借り換えを行い、浮いたお金を年利5~7%ほど出る投資に回して資産形成することをおすすめしています。