住宅ローンと金利は切っても切れない関係にありますが、なぜ金利が上下するのかよくわからない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、日銀の金融政策が住宅ローンに及ぼす影響をわかりやすく解説します。
住宅ローンの金利と金融政策の関係を解説
住宅ローン金利の仕組みを理解するには、日銀の金融政策を知り、住宅ローン金利がどのように動くか理解する必要があります。
そこで、これまで日銀が行ってきた金融政策を説明し、住宅ローン金利とどのように関わるのか解説します。
政策金利と住宅ローン金利の関係
日銀は、金融機関が企業や個人への貸し出しや投資を活発化させ、経済の活性化とデフレ脱却を図るために、金融緩和政策の一環として2016年1月からマイナス金利政策を導入しました。
金利が低ければ利息も低くなるので、企業は設備投資のための資金を銀行から借りやすくなりますものね。
もちろん個人消費でも同じです!最もお金のかかる住宅もローンを組んで購入しやすくなっていました。
しかし、2024年3月19日、日銀は物価安定目標を持続的に達成できる見通しが立ったとして、マイナス金利政策の解除を決定します。
マイナス金利政策の解除とは、「低金利でお金を貸すのはやめて、金利を上げていく」ということです。
金利が上がると、預貯金や国債の利子が増えるメリットはありますが、貸付されたローンの利息も増えるため、借り手にとってはデメリットになります。
日銀の金融政策でローンの利息が上下するのが分かっていただけましたか?
日銀の金融政策によって上下する住宅ローンの金利ですが、住宅ローンには2種類の金利形態があります。次にそれぞれの特徴を解説します。
変動金利と固定金利の特徴
住宅ローンの金利タイプには変動金利と固定金利の2種類があります。
変動金利は市場金利の影響を受けやすく、返済額が変動する可能性がある一方、固定金利は選択期間中の返済額が確定しており、返済計画を立てやすいのが特徴です。
それぞれの仕組みと向いている人について解説します。
変動金利の仕組みと向いている人
変動金利は、日銀の政策金利短期金利(1年未満の金融資産の金利)の影響を受けると言われています。
短期的に変動する変動金利には返済額の急激な変動を避けるため、仕組み(5年ルールや125%ルール)が設けられています。
5年ルールとは、適用利率が変更されても返済額は5年間変わらない仕組み。次に、125%ルールとは、6年目に金利上昇したとしても見直し後の返済額は、旧返済額の1.25倍が限度とされる仕組み。
5年ルール、125%ルールが適用されても金利変動により上昇した分(毎月の返済額を超えた分)は必ず支払わなければならないため、未払利息として将来の返済額に上乗せされます。
なお、未払利息を支払うタイミングは金融機関によってさまざまです。
まとめると、
5年間の返済額は変わらない!6年目は5年目の1.25倍までの返済額になる。でも、ルールを適用した6年間の中で金利が上昇し、毎月返済額を超えた金利上昇分は、後々支払うことになる。
ってことですね!
変動金利に向いている人は下記の通りです。
- 金利上昇に対応できる貯蓄がある人
- 所得が上がる見込みのある人
- 繰り上げ返済で住宅ローン残高を減らす予定のある人
固定金利の仕組みと向いている人
固定金利は日本国債などの利回り、つまり長期金利(1年以上の金融資産の金利)の影響を受けると言われています。現行の変動金利よりも高い金利が適用されます。
金利固定期間は「全期間」と「一定期間」から選べ、一定期間を選ぶと一定期間終了後に再び固定金利か変動金利を選べるようになります。
固定金利に向いている人は下記の通りです。
- 返済額を固定させたい人
- 返済期間を固定させたい人
- 返済計画を乱されたくない人
住宅ローンの仕組みを理解してシミュレーションが必要
住宅は人生の中で一番大きな買い物です。そのため、返済額をできる限り少なくしたいと思うのは当然でしょう。
しかし、住宅ローンの仕組みを理解せず、一般的に推奨される変動金利を選択すると、人によってはリスクが高まり返済が難しくなってしまう場合があります。
自分にはどちらの借り方が合っているのか、家計の収支バランスをみたうえで、きちんと返済額を金利変動に応じてシミュレーションすることが重要です。
ただし、将来金利がどれほど変動するのか誰にも分かりません。ですが、日銀の政策や世界経済の動向を基にシミュレーションを行うことは可能です。自身のライフプランと照らし合わせて、最適な住宅ローンを選ぶようにしましょう。